精神病患者の「私宅監置(自宅に閉じ込める部屋作る)」って知っていますか?
こんにちは、マリーナです。
先日「夜明け前」という呉修三(精神科医)を題材にした映画の上映会へ行ってまいりました。近所で開催だったので。
皆さんは、今から100年以上前にあった、私宅監置(座敷牢みたいなもの)という日本の制度をご存じでしょうか?
“頭のいい奴は分かりやすく話す、頭の悪い奴ほど難しく話すんだよ”と真理のような名言残しているので、頭良くなりたい私は、かみ砕いてお話します。
呉修三の言葉にこんなのがあります
『わが邦十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の他に、この邦に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし』(呉修三『精神病者私宅監置ノ實況及ビ其統計的觀察』)
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『日本に生まれた精神病患者は、その不幸だけでなく、日本に生まれたという不幸も重ね持ってしまった…』天皇制の当時に、これを言うのはめちゃくちゃ勇気がいります。あ、別に左翼じゃないですよ笑
呉修三が日本からヨーロッパに視察に行ったときのことです。馬車に乗りながら、彼は馭者に話しかけました。
「今すれ違ったひとは誰だ」
小さな町なら、皆お互いの顔を知っています。馭者は言いました。
「精神病患者だ」
「あそこで仕事している人は誰だ」
「あれも精神病患者だ」
ヨーロッパでは、精神病患者はフツーに社会で過ごしてたわけです。
一方その頃の日本では、漸く精神病が認知され始めて来ました(それまでは、そもそも狐憑きだとか呪いだとか言われていた)…が、病院が圧倒的に足りず、結果「行政指示のもと、家に部屋を作りそこで看護してください」という私宅監置制度が存在していました。
「私宅監置」は、当時の日本の風習に自然に溶け込めるような制度だったとは思います。閉鎖的な日本では家族は、精神病患者が周囲に迷惑をかけるのを恐れます。
中には、とんでもない部屋もありました。立ち上がれない部屋、閉じ込められた上に鎖で繋がれる部屋、何十年もそこから出られない部屋…
でも、誰も悪くはありません。みんな困っていたのです。周囲も、家族も、当事者も。
呉修三は、「こんな部屋に閉じ込めておくなんて!」と家族を批判するようなことはしませんでした。出来るわけないです、家族も辛い辛い思いの中やっていたことなんですから。
どうでしょうか。どう思いますか?100年ほど前の制度です。そんな昔でもないです。
今は、勿論こんな制度ないですが、じゃあ精神病患者の扱いはどうなっているのでしょう。
フリーダムになりましたか?でも、がっちゃん部屋(隔離室等)に閉じ込められることもあります。世間に認知されてきましたね。けれど、差別は根強いです。身体障害者と精神障害者の雇用格差だって続いています。
全ての差別をなくすのは不可能です。人間生きていれば価値観なんて全員違うのですから。
平等でなくてもいいです。本当の平等なんてないです。
ただ、少しでも誰かが関心をもってくれたらいいなあと思って、この記事を書きました。
余談…呉修三は、自分の病院で、皆の目を盗んで患者の拘束具をすべて外して燃やしちゃったアグレッシブさんです笑
かっこいいですね。